【要注意】「NTTの光回線がお安くなります!!」の勧誘電話に気をつけて ――その人、NTTのスタッフじゃないかも?

毎月の通信回線料金がかなり安くなるという「光コラボ」の勧誘電話。よく調べずに契約してしまうところでした・・・近年増えてきた勧誘電話の背景とその実際についての、私の体験談。
Beware of cold calling soliciting for signing up for “Hikari Collabo” new campaign, under which your monthly fees for NTT optical network service will be allegedly reduced almost by half.
これまでに勧誘電話や悪質な偽メールの類には、引っかかったことはありません(キッパリ)。
怪しげな電話やメールは、話の内容の不自然さ、メールの送信元アドレスが怪しかったり、日本語が怪しかったり、社名が入っていなかったり・・・と、たいていは不審な点があるものです。
こうした詐欺に引っかかる人は、あくまで「情弱」な人。自分とは関係ない・・・。
・・・と思っていたところ、このたび危うく「かなり怪しい部類に入る」勧誘電話を、怪しく思いつつも信用してしまい、さらには契約手続きの一歩手前までいきそうになりました。
今回はこの「危ない強引な勧誘電話」についてお話しします。
たぶん同じような経験をする人がこれから出てくる・・・あるいはすでに出ている・・・と思われます。
私の失敗談が、少しでもお役に立てば。
NTTを名乗ったから信じたのに
それは自宅にかかってきた、一本の勧誘電話からはじまりました。
話を聞いてみる気になったのは、現在自宅で光回線で利用している「NTT」を名乗ったから。
てっきりNTTの社員が電話してきていると思ったんです。
実際、電話をかけてきた女性は「NTTです」と名乗りましたし。
念のために、会話の途中で何度も何度も、「NTTの方なんですよね?」と確かめました。そのたびに、「はい、ご安心ください。NTTのサービスです」と答えてくれました。
実際に、後でネット検索してみたところ、うっかり手続きしてしまった人のほとんどは、「NTTだから大丈夫」という思い込みがあったようです。
相手側も、NTTのブランドを巧みに利用して、自社サービスへの乗り換えさせようとしているようです・・・。
契約前にはNTTの名前を「意図的に」ちらつかせ、契約する段になってはじめて、本当の社名を告げる。
つまり確信犯なわけです。
話を元に戻しましょう。
淀みなくセールストークするこの女性によると、NTTでは「光コラボ」というキャンペーンを実施しており(注:これは正しくありません。実施しているのではNTTではありません。)、こちらのキャンペーンを利用して、現在のNTTのフレッツ光回線の「転用」手続きをすれば、通信料金が半額以下になるとのこと。
他社のサービスに乗り換えるという話なら、めんどくさいので無視したでしょう。
でも、「同じNTT内の別サービスに乗り換える」という話なら、聞く価値はあるかもしれない。そう思いました。
楽天モバイルの勧誘電話のときは本当の話だった
私がうっかり信用してしまったのには、もうひとつ理由があります。
私は、スマホは、楽天モバイルを利用しています。
ちょうどふた月前に、楽天モバイルから私のスマホに電話があり、「現在キャンペーン中の新プランに乗り換えをした方が、絶対にお得ですよ!」と勧誘されたのです。そして、実際に契約したところだったのです。
テレビなどでも盛んに宣伝していたこの新プランでは、通信データはどれだけ利用しても無制限で月額3,278円(税込み)。さらに最初の3ヶ月は料金が無料になるという、実際にお得なプラン。私は乗り換えたことに満足していました。
直近でそういう経緯があったので、「NTTでも似たような新サービスをはじめたのかな」と軽く考えてしまったんですね。
これまで自社回線を持たずにNTTから回線を借りてサービス提供していた楽天モバイルと、自社回線を持ちそれを他社に貸し出しているNTT。
この2社では、そもそも料金体系はちがって当然なんですけどね・・・.
楽天モバイルはこのたび自社回線を持つことにより、NTTに借りていた回線料金を支払う必要がなりました。大幅に値引きができるようになったのは、このためです。でもそもそも自前の回線を持ち、どこからも借りてはいないNTTは、そういう意味では、これ以上値引けるはずがないんです。
ただし、勧誘の女性は、「NTTも、このたび、顧客が離れていくのに歯止めをかけるために、新たなお安いプランを導入したんです」と力説しました。「ああそうなのか」と、そのときは思いました。
もうすぐキャンペーン終了と急かされて
この女性、セールストークは上手ですが、やけに急いでいる様子。ここでも怪しいと思うべきでした。「このキャンペーンは今月いっぱいなんです。あと2日しかないのでお電話を差し上げました」。
そんなにお得なキャンペーンがあと2日で終わりになってしまうのか。「急いだ方がいいのかな」という気持ちが警戒を緩めてしまったようです。
後で振り返れば、その場でとりあえず話だけ聞いておいて、あとでネットで業者について調べる、とか、いくらでもできたわけですが。
その時点では「相手はNTTのスタッフ」と信じているわけですから、「あとでググる」という発想にならないわけです。ここが要注意ポイント。
で、こちらが興味があることを示したら、「今すぐにウェブサイトから転用の手続きをしましょう」ということに。
え?今すぐ? 早急だなあ、と思ったものの、「通信料金が半分以下になるなら手続した方がお得。後でやる手間を考えたら、女性と電話でつながっている今のうちに手続してしまおう」と考えました。特段疑問は持たずに・・・。楽天モバイルのときもこのやり方で半額以下になったわけだし。(注:これも正しくありません。楽天モバイルのときは、その場では電話を切り、実際の手続は店舗に出向いて行うことになりました。その場でウェブで手続きさせるというのは、それだけ急がなければならない理由があるということ。)
女性と電話で話しながら、その場でパソコンを立ち上げて、指示に従ってGoogleで「NTT」「転用」で検索をかけます。
すると、このような画面が表示されました。


一見、ちゃんとしたNTTのサイトです。それに実際に、このウェブサイトは、NTTの正式なサイトでした。
ここにも今回の盲点がありました。
NTTのウェブサイト上で転用手続きを完了するも
電話の女性の説明に従って、ウェブサイト上で所定の手続き事項を記入していきました。
氏名、住所、電話番号などの個人情報を提供したわけです。料金の引き落とし銀行もブルダウンメニューから選択しました。

幸いだったのは、銀行名は選択しましたが、この時点では詳細な口座情報をたずねられなかったことです。クレジットカード情報も提供しませんでした。
最後に大きく表示された「転用」のボタンをクリックして、転用手続きは完了となりました。
ほどなくして電子メールで「転用承諾番号」なるものが送信されてきました。
この番号が発行された時点で「転用手続きを承諾した」ことになるのだそうです。
電話の女性は、「後日郵送で手続き書類が届くので、そちらを記入の上、返送してください」と言いました。
書類手続きの完了をもって、新サービスへの切り替えとなるわけです。
もしかして、騙された?
次に夜間にこの女性が折り返し電話をしてきたときのこと。
「XXXです」と、NTTではない、まったく別の企業を名乗りました。私はびっくりして、
「え? お宅はNTTさんなんですよね?」
「いえ、株式会社XXXです。先の転用手続きをもって、お客さまはNTTのサービスから離れ、これからは弊社のサービスをご利用いただくことになります」
へ? それってさっきの話とちがうじゃない?
あ、もしかして、私、騙された・・・!?
慌ててその場で「株式会社XXX」をググってみます。
そしたら出てくる、出てくる、悪評の数々・・・NTTの名前を語って手続きさせて、無理やり別のサービスに乗り換えさせるだとか。
この時点で私は頭の中が真っ白に。

どうしよう・・・
その時点では夜遅かったので、適当に礼を言って電話を切りました。
そして翌日朝いちばんでNTTに電話をしてみました。
NTTの話によると、すでに私の電話番号は転出手続きに入っていると。この手続きが進むと、私はもはやNTTサービスの利用者ではなくなるそうです。どうしよう。NTTから離れたかったわけではないのに。
同じNTT内の別の安いサービスに切り替えるのだと思ったからこそ、了解したわけです。これでは話がちがいます。
NTTのスタッフに泣きついて相談
NTTのスタッフにその旨を説明したところ、昨日と同じウェブサイトに行って、上書きして転用承諾番号を再発行すれば、昨日発行された番号は自動的に無効となり、業者は勝手に手続きを進めることができなくなる、との説明を受けました。
アドバイスのとおりに転用番号を再発行した上で、株式会社XXXのカスタマーセンターに電話を入れ、「転用手続きをキャンセルします」と伝えました。
カスタマーセンターの担当の女性(昨日とはちがう人)は、慣れた様子で、その場で快くキャンセルを受け付けてくれました。助かった~。きっと株式会社XXXにしたら、ここは何としても手続きしてもらいたかったことでしょうが。きっとそうやって顧客を強引なかたちで獲得しているのでしょうから。
私のように「NTTと信じて」手続きを終えてしまった人もいるでしょうし、私のように社名を告げられた時点で慌てて取り消す人もいるでしょう。このようなほとんど人を騙すようなやり方でセールスを進めるなんて、本当に許せません。
NTTに確認したところ、仮に業者が転用手続きを最後まで進めてしまっていた場合は、消費生活センターに連絡を取って相談するしか方法がないのだそうです。こうなると、かなり面倒で複雑な手続きが必要になりそうです。業者によっては後で高額なキャンセル料を請求してくるところもあるらしい。
まさに間一髪でした・・・危なかった。
情けない。。反省しなければ。
NTTからの転用手続き自体は、合法であり、違法ではありません。正式に存在する手続き制度ですので、こうした業者の事業自体には問題はありません。
問題は、顧客へのセールストークの内容であり、説明内容です。
「光コラボ(光コラボレーション)」とは、通信自由化に伴い、NTT東日本とNTT西日本が、プロバイダーや携帯キャリアなどの事業者に対して光回線の卸販売を行うサービスモデルのことです。もともとNTT東日本と西日本では光回線を「フレッツ光」として自社販売(もしくは代理店が代理販売)していました。それが光回線の普及を図るために、2015年から他社への卸し提供を始めました。光回線の卸し提供を受けた事業者は「光コラボ事業者」と呼ばれ、光回線と独自のサービスを抱き合わせでユーザーに販売します。
ただし、新たに登場した光コラボ事業者の中には、今回私に電話をしてきた会社のように、NTTの名前を語って顧客を安心させたうえで巧みに勧誘をかける、きわめてグレーな業者も数多く生み出しました。ここが、注意が必要な点です。
ちなみに私のようにうっかり騙された人はほかにもいるみたいです。
光コラボ自体は、怪しい制度ではなく、料金は実際に安くなるケースが多い
ウェブサイトで調べてみたところ、光コラボを利用すれば、実際に料金は安くなることが多いようです。だから業者は必ずしも嘘を言っているわけではない。「通信料金さえ安くなるのなら、どこの業者と契約するのでもかまわない」――こう考える人なら、契約を進めるという考えもアリです。
ただしその場合は、以下の点を考えて、よく調べたうえで、転用を行うか判断されることをお勧めします。
〇自分の場合、本当に料金は安くなるのか。
〇NTTで貯めてきたポイントは利用できなくなる点。
〇場合によってはこれまでのプロバイダーが利用できなくなる点。
〇その業者はずっとサービスを提供できるほど体力のある業者なのか。
〇仮に倒産した場合、契約はどうなるのか。
私としては、最初に身分を偽ってまで強引に話を進める業者に対して、毎月料金を払うのは絶対にイヤです。嘘をついたという時点で、この業者はアウト。即刻キャンセルした次第です。
まとめ
<怪しい業者の見分け方>
怪しい業者は以下をもとに見分けましょう
〇業者がNTTを名乗っても信じない。
NTTではない可能性もあります。
その場で約束や契約はしないこと。
業者が本当の社名を告げてきたら、必ずググって身元や評判を調べてみましょう。
〇電話で勧誘してくる時点で怪しい。
優良業者なら、電話勧誘しなくても、利用者が集まってくるはず。
〇キャンペーン終了まであとわずかです、と急かされても、鵜吞みにしない。
その期日は嘘かもしれません。
〇その場でウェブサイト上で手続きを進めようとしたら、要注意。
業者には急いで契約させてしまおうという意図があるかもしれません。
通常なら、手続きは店舗に出向いて行う、書面で行う、などの方法をとるはずです。
通信自由化自体はよいことなのに、その流れで知識不足の人や注意不足の人(私ですね)、高齢者などを騙す業者が現れるのは問題ですよね。
今回の勧誘については、手続きを本物のNTTのウェブサイト上で行わせることから、その意味でもNTTだと信じてしまう人が続出しそうな予感・・・
NTT自身も、その点は不安を持っているようで、自社のウェブサイト上でも注意喚起を行っています。

また、もし手続きを進めてしまって、取り消しをしたい場合など、相談窓口としては、以下があります。