投資信託からETFへ、マネー移動の動きが

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【世界的なETFの膨張がもたらす影響とは】「アクティブ型ETF」の人気化に伴う、市場のボラティリティ(変動幅)拡大が懸念材料に


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Photo by Pixabay on Pexels.com



昨日の日本経済新聞で、米国では最近「アクティブ型」ETFが急増していて、2021年に入ってからは「株価指数連動型(パッシブ型)」を上回る設定数であることが報じられました。


2021年に限った上場件数で言えば、「パッシブ型(株価指数連動型)ETF」の98本に対して、「アクティブ型ETF」の上場件数は179本にのぼったとのこと。

この流れの牽引役および象徴となっているのが、キャシー・ウッド氏が率いる「アーク・イノベーションETF」でしょう。同ETFは米国などのハイテク株に集中投資を行うファンドで、その価格は2020年から2.5倍近く上昇しています。

昨今のETF人気をめぐり、JPモルガン・アセット・マネジメントなどの大手金融機関も、投資信託からETFへのシフトを加速化させているそうです。

ETFは手数料が安いことから、一部の投資家は、投資信託からETFに資金を振り替えています。価格がつくのが一日一度だけの投資信託と異なり、ETFはマーケットで取引されますので、場中に価格を見られる投資家であれば、好むタイミングで売買が行えるという機動性のメリットもあります。

2021年7月17日付のブルームバーグの記事によると、米国では、手数料の安さと税効果の高さに惹かれて、投資家たちが投資信託からETFに乗り換える動きがあるそうです。この流れを止めることができなかった大手運用会社は、25社のほぼすべてがETFを提供しているか、今後そうする予定とのこと。

「投資信託業界の全面降伏」とまで書いているのは、いささか驚きです。

一方で、日経新聞の記事は、「(投資信託と異なり)ETFは新たな購入を断ることができない」という、意外なデメリットについても指摘しています。

たとえば、投資信託の場合は、資金が集まりすぎて効率的な運用ができなくなると運用会社が判断した場合には、新規の購入ができないように設定することが可能です。運用総額が巨大になりすぎたファンドは、投資先の選択で苦労するようになることが、その理由です。設定時にファンド規模に上限を設けるケースもあります。

一方で、ETFはマーケットで取引される商品であることから、規模を限定することはできません。「アクティブ型ETF」の場合は、当初想定していた以上に時価総額が膨らむと、有望な投資先を見つけるのに苦労したり、投資効率が低下してしまう問題に直面する可能性があります。

上記に取り上げた「アーク・イノベーションETF」などは、絞り込んだ少数の銘柄に集中投資を行うことでパフォーマンスを飛躍的に高める戦略を採用しています。こうした「アクティブ型ETF」がマーケットに占める割合が高まると、それが市場のかく乱要因になっていくことが懸念されます。

たとえば同ファンドは、電気自動車のテスラへの積極投資で知られています。テスラのように値動きの激しい少数の銘柄を選好する「アクティブ型ETF」が増えていけば、市場のボラティリティ(変動幅)は今後ますます大きくなるかもしれません

いまのように株式市場が好調なときには何の問題もありません。

しかし、いったん不安定になると、価格の激しい巻き戻しを引き起こすおそれがあることには注意が必要です

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私個人は、ETFよりも、投資信託の方が、使い勝手がよくて好きです。


ETFに比べて、手数料は若干割高ではあるものの、投資信託には、

投資信託のメリット

〇分配金を再投資して複利効果が狙える

〇金額ベースで売買ができる

〇資産管理がしやすい

という、ETFにはない、いくつかの大きなメリットがあります。


米国の流れを汲んで、今後日本でも投資信託からETFへの資金移動が起こり、投資信託業界の衰退が起きてしまったりはしないか――今回、これらの記事を読んで気になった点です。





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