考えないマネー

私は、個人の投資活動の一環として、つみたて投資をしています。
つみたて投資による投資は、日経平均株価やダウ、NASDAQなどの株価指数(インデックス)に連動する投資信託(ファンド)を機械的に淡々と買い付けていく投資スタイルです。
一部メディアなどでは「考えないマネー」ともいわれています。
専門知識を持った投資運用者が、株価が割高か割安かを判断して積極的に買い付けを行う、アクティブ投資との対比を成す、どちらかといえば受け身な投資方法です。
昨年からのコロナ禍に伴う投資ブームにより、この「考えないマネー」がマーケットの時価総額に占める比率が世界的に年々高まっています。
昨日(2021年5月22日)の日本経済新聞の報道によると、米国では、ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートによる「ビッグ3」によるETF運用が米国大型株の四分の一から三分の一を占めるようになっているとのこと。
これはかなり大きな比重です。
この日経の報道によると、「考えないマネー」の肥大化は、いくつかの弊害を引き起こしているそうです。
具体的には、よい企業の株価が上昇して悪い企業の株価が下落するといった市場の選別機能が損なわれてきていること、
資本の効率的分配というマーケットの機能が損なわれてきていることなどです。
個人的には、市場の上げ下げに翻弄されることなく定期的、機械的に指数を買い付けていくインデックス投資のよさに惹かれて、つみたて投資を実践しています。
自分の投資活動が「マーケットの効率性を損ねている」と指摘されれば、確かにその面も否めないことから、心中穏やかではいられません。
昨年3月のコロナショック以降、世界的に株価が急上昇しています。
市場関係者からは「バブルでは」という声も聞かれます。
実際の社会ではコロナによって生活に支障をきたしている人が大勢いる中での、不自然な株価急騰。
原因は、FRBをはじめとする世界の中央銀行による金融緩和であるといわれています。
しかし、この記事を読み、私はいまの株価急騰の背景には、この「考えないマネー」の肥大化、機械的な資金流入の継続がもたらしている面も見逃せないのでは、と思えます。
何せ「考えないマネー」。
何も考えていない自動的な引き落とし→買い付けの機械的な投資。
これが世界的に大きな規模で継続されていけば、極端に不自然な水準まで株式が買い上げられることがあっても不思議ではないわけです。
この点も念頭に置いたうえで、今後の株価の動きを注視していこうと思います。